令和5年度施政方針(村議会3月定例会より抜粋)

 2020年の3月にWHO(世界保健機関)から、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が宣言されてから3年が経過しましたが、世界の英知を結集したワクチンや治療薬の開発・普及に成功し、ようやく終息が見えてきました。

 国においては、今年5月8日をもって、新型コロナウイルス感染症を感染症法の2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に位置づけ、患者や濃厚接触者の行動制限も撤廃する方針を示しました。

 本村におきましても、今後は、感染症対策を講じながら、コロナ禍以前の活気ある社会生活を取り戻せるよう積極的な施策を講じてまいります。

 さて、本村を含む新庄・最上地域においては、着々と社会インフラの整備が進み、大きな飛躍のチャンスが巡ってきました。昨年末には東北中央自動車道が昭和地区の新庄真室川インターまで延伸開通し、念願であった首都圏との直結が実現いたしました。

 また、本年10月には新しい県立新庄病院が開院し、医療と福祉と介護の連携が、大幅に強化されます。更に来年春には、地域初の高等教育機関となる東北農林専門職大学が開学し、農林業の担い手の育成に留まらず、地域農業との連携によるスマート農業の導入普及などにおいて先導的な役割を果たすことが期待されます。

 これらが地域にもたらす恩恵を、村勢の発展と住民福祉の向上にしっかりと繋げられるよう今後の行政運営に取り組んでまいります。

 まず、当面する課題といたしましては、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発し、その余波を受けたエネルギーや食料品の価格高騰が地域経済や住民の暮らしを直撃しております。相次ぐ食料品価格の値上げや電気料金の高騰は、景気回復の恩恵にあずかれない高齢者や価格転嫁が難しい中小の生産者にとって極めて大きな問題です。村としては、これまでも価格高騰対策として村内の生産者や住民税非課税世帯等を対象に、できうる限りの財政支援を行ってまいりましたが、今般の生活に直結する値上げによる苦境を幾分かでも緩和するため、「価格高騰緊急支援給付金」(令和4年度繰越事業)を、村民おひとりおひとりにお配りさせていただきたいと考えております。

 次に新年度に向けた施策の展開方向については、「第3次鮭川村総合発展計画」並びに「第2期鮭川村まち・ひと・しごと創生総合戦略」の3年目にあたり、総合発展計画に掲げた「多世代と自然が織りなす“うるわしの里”さけがわ」を目指すべき将来像とし、4つの政策の柱に沿った取組みを行います。

1つ目の柱「未来につながる教育・文化の振興と協働の推進」

 未来を担う心豊かな人材の育成に向け、小・中学校へ整備したタブレットや電子黒板等のデジタル機器を活用したICT教育を、更に強化してまいります。

 老朽化が進む中学校校舎について大規模改修の計画を策定いたします。

 楽しい学び合いの環境づくりに向けては、伝統芸能の学習や自然保護活動など、学校と家庭、地域が一体となった取組みを進めてまいります。

 歴史と文化の継承に向けては、250周年の節目の年を迎える鮭川歌舞伎の記念公演、本年度初めて開催し、盛況を博した羽根沢節全国大会の第2回大会の開催に向けた支援を行ってまいります。また、村独自の俳句文化である「前句付け」を児童に教える俳句教室を引き続き行ってまいります。

2つ目の柱「美しく強靭な村土の形成」

 美しい郷土の保全に向けて、県の「みどり環境税」を活用して猿鼻街道周辺の里山林等の保全事業を行ってまいります。

 減災・防災対策の強化に向けて、令和2年度から進めております防災行政無線戸別受信機の設置工事については、現在最終年度を迎えておりますが、令和5年度は本体の操作卓の更新事業に着手し、デジタル化を進めて利便性の向上を図ります。

 持続可能な行財政運営の推進に向けては、村内に2か所ある保育所を統合して運営の効率化を図るとともに、乳幼児保育など新たな保育ニーズに対応できるよう機能強化を図るため、事業に本格着手いたします。

 旧牛潜小学校跡地の今後の活用につきましては、地域の皆様からの要望を受け、校舎等の解体工事に着手いたします。

3つ目の柱「新たな価値・雇用を生み出す産業の振興と移住・定住の推進」

 元気な農林水産業の振興に向け、担い手の育成、新規就農者、スマート農業の実現に向けた取組みを昨年度に引き続き支援してまいります。また、農業基盤の整備として、個人等が行う小規模な土地改良事業への補助につきましても、継続して行ってまいります。

 村内商工業の振興対策といたしましては「プレミアム商品券事業」を通常通りの補助率に戻し、また開催規模を縮小しておりました各種イベントもコロナ前の規模で実施できるよう予算計上をしたところであります。

 雇用のための環境づくりに向けては、村民の仕事のスキルを高めるための資格取得費用の助成や小規模事業者の事業継続及び創業に対する補助を継続して行ってまいります。

 地域の特色ある観光と交流の振興に向けては、拠点となるエコパークの施設整備や活動組織の育成を強化してまいります。

 移住・定住の促進に向けては、さけまる定住促進住宅への入居を希望される移住希望者が多いことから第2期定住促進住宅整備事業に着手いたします。更に空き家を利活用される方への支援等を進め、住宅リフォーム総合支援事業を引き続き県と連携し実施してまいります。

4つ目の柱「多世代が心地よく暮らせる福祉と健康づくりの推進」

 安心して子供を産み育てられる環境の充実に向けては、出産祝金の支給、小学校・中学校入学祝金の支給、小中学校での給食費無償化、高校卒業年齢までの医療費無償化の継続と、保育料の段階的な無償化に取り組んでまいります。更には、国において「異次元の少子化対策」を表明していることから、今後打ち出される新たな施策にも国・県と連携して積極的に取り組んでまいります。

 心も体も健康で長生きできる地域づくりに向けては、昨年度策定した地域福祉計画に基づき、全世代を通じて、村民が健康で安心して地域で暮らしていけるよう保健や福祉、また高齢者宅の除雪支援など生活支援の施策を計画的に実行してまいります。

 

以上、村民の皆様方からのご理解とご協力を賜りますことを切にお願い申し上げ、令和5年度の施政方針といたします。